シンガポールの法人設立で必要なビザは?種類や取得方法を紹介

シンガポール 法人設立 ビザ-アイキャッチ画像

シンガポールで法人を設立し、ビジネスを行うには、シンガポールでの就労が許可されたビザ(シンガポールではパスと呼びます)を取得する必要があります。

シンガポールの就労ビザ取得は年々厳しくなってきているため、申請から取得までが上手くいかず、ビジネスが思ったように展開できない日系企業も多くあります。

本記事では、シンガポールにおけるビザと法人設立の関係を説明するとともに、就労ビザの取得方法や代行会社の選び方について丁寧に解説します。シンガポール進出に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • シンガポールでの法人設立とビザの関係性
  • シンガポールで法人設立・ビザ取得を行う方法
  • シンガポールでの就労ビザ取得手順
  • 代行会社の選び方
  • シンガポールでおすすめのビザ代行会社

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目次

シンガポールにおける法人設立とビザの関係性

シンガポールで日本人が法人設立する際に、ビザのコピーを求められることがあります。しかし、就労ビザが必要、というわけではなく、日本人であれば入国時に自動で取得できる、30日まで滞在可能な「一時滞在ビザ」でも可能です。

しかしながら、法人設立後に日本人がシンガポールで何らかの営利活動を行う場合には、就労が許可されたビザを取得しておく必要があります。これは、たとえ法人の代表者であっても同じです。

そのため、シンガポールでビジネスをスムーズに進めるためには、法人設立とビザの手続きをどちらも行う必要があります。

シンガポールの法人設立の流れについては、以下の記事にまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。

シンガポールで法人設立する2つのパターンとビザの関係

シンガポールで法人設立をし、その後運営するための方法は以下の2つです。

シンガポールでの法人設立とビザの関係
  1. 法人を設立後に、必要な就労ビザを取得する
  2. 永住ビザを取得した後、法人設立を行う

多くの企業が実施しているのが1の方法です。昨今は就労ビザの取得が難しくなってきているものの、一定のルールに則り、条件を満たせば、就労ビザの取得が可能です。

2の方法は、GIP(Global Investor Programme)と呼ばれる永住ビザを取得し、その後法人設立を行う方法です。しかしながらGIPの条件は厳しく、シンガポールの投資案件に2億円以上を投資する必要があります。そのため、すでにGIPを所有している場合は別ですが、基本的には1の方法で法人設立とビザ取得を図るのが一般的です。

シンガポールで取得できるビザの種類と特徴

シンガポールで取得できるビザは、シンガポールの政府機関である「Ministry of Manpower(MOM)」が管轄しています。

Ministry of Manpower

シンガポールのビザは主に、観光や一時的な滞在に有効な「一時滞在ビザ」、営利目的の活動が可能な「就労ビザ」各種、就労者の「家族向けビザ」などに分かれます。

ビザの分類概要
一時滞在ビザシンガポールに一時滞在できるビザ。日本のパスポート所持者であれば、入国時に一時滞在ビザが付与され、最長で30日間までの滞在が許可される。いくつかの条件があるが、最大30日もしくは最大89日間の延長申請も可能。就労は不可
就労ビザシンガポールでの就労が許可されたビザ。業務の専門性や収入、セクターなどによって種類が分かれている。各就労ビザの詳細は次の表で紹介
家族滞在ビザ就労者の家族や子供向けの滞在ビザ。就労は認められていないが、一定条件を満たすことで就労が可能になる場合もある。
その他学業を目的とした学生ビザや、国の政策に関わって発行するビザなど。

シンガポールで法人を運営する、もしくは働くためには、就労ビザ(もしくはパス)を取得する必要があります。シンガポールでは取得できる就労ビザが、条件によって細かく分けられています。例えば、収入やセクター、その他条件によって取得できるビザが異なります。以下にシンガポールの主な就労ビザの特徴をまとめました。

就労ビザの大枠種類・名称概要
プロフェッショナル向け
就労ビザ
Employment Pass外資法人の経営者や従業員などが取得できるビザ。シンガポールで就労ビザというと、一般的にはこのEmployment Passを指すことが多い。昨今取得条件が厳しくなってきている。
Entre Passシンガポールでベンチャーや革新的なビジネスを行う経営者のみが取得できる就労ビザ。Employment Passとは異なる視点での審査が実施される。
Personalised Employment PassEmployment Passを取得し、かつ一定額以上の収入源を持つと認められる個人に対して発行される特別な就労ビザ。
中級向け
就労ビザ
S PassEmployment Passの収入額に届かない場合に発行されるビザ。Employment Passは最大3年間だが、S Passは最大2年間などの違いがある。
Work Permit for migrant workerS Passの最低収入額に届かない場合に申請できるビザ。ただし、建設業、製造業、飲食サービス業など、一部のセクターのみ有効。
訓練・インターンシップ向け
就労ビザ
Training Employment Pass海外からのインターン生や研修生を受け入れる際に取得できるビザ。
Work Holiday Passワーキングホリデーとしての条件を満たした場合に発行されるビザ。

シンガポールでの法人設立と就労ビザ取得の流れ

シンガポールで就労ビザを取得するためには、法人設立後に様々な書類を添えて、MOMに申請を行う必要があります。シンガポールでの就労ビザは、他国と比べて厳しい審査が行われるため、取得難易度は高めです。

シンガポールでの法人設立とビザ取得の流れ
  1. 一時滞在ビザで入国する
  2. シンガポールで法人設立を行う
  3. 法人設立の書類をもとに就労ビザの申請を行い、取得する

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1.一時滞在ビザで入国する

まずは一時滞在ビザでシンガポールに入国します。日本のパスポート所持者であれば、シンガポールに入国した際に30日までの滞在許可がもらえます。この30日の間に、法人設立に必要な作業を進めます。

もし30日間で足りない場合には、延長手続きを行うことも可能です。その場合には期限の14日前までに必要な手続きを行い、期限を30日間伸ばしてもらいます。

2.シンガポールで法人設立を行う

続いて、シンガポールで現地法人設立の手続きを行いましょう。シンガポール法人設立の流れや注意点などは、以下の記事で紹介しています。

すでに企画や準備が完了しているのであれば、シンガポール法人の設立は1~2ヵ月で可能です。ただし、法人設立の審査に時間がかかったり、口座開設予定の銀行で許可が下りなかったりした場合に備えて、2~3カ月ほどは確保しておくとよいでしょう。

3.就労ビザの申請を行う

法人設立の際に取得した各種資料を準備した後、MOMの就労ビザオンライン申請ページより手続きを行います。

Employment Pass (EP) eService (formerly EP Online) – Ministry of Manpower –

これまで何度か述べてきたように、シンガポールの就労ビザは、個人と企業の両方に対して厳しい審査が行われます。

MOMで審査される内容(例)

個人・・・学歴、職歴、シンガポールでの給与、ポジションなど
企業・・・資本金、事業内容や計画、直近の売上など

特に重要なのが、シンガポールでの給与です。給与によって申請できる就労ビザのグレードが異なります。給与見込みが最低条件に達していない場合には就労ビザを取得できず、シンガポール国内で働くことはできません。

給与額やその他の条件は頻繁に変更されるため、以下の政府サイトにて、常に最新情報をチェックする必要があります。

Work passes – Ministry of Manpower –

シンガポールで就労ビザを取得するには、最低月給給与と、COMPASSと呼ばれる審査の2つを通過する必要があります。

最低月額給与

多くの企業が取得を目指すEmployment Passでは、以下のような最低月額給与が定められています。

セクター最低月額給与
金融セクター以外5,000Sドル(56万円)以上
(ただし、年齢に応じて上昇する)
金融セクター5,500Sドル(61万6,000円)以上
(ただし、年齢に応じて上昇する)
2023年9月1日時点の情報に基づく。為替レートは、2024年8月1日時点の1Sドル=112円で算出

もしこの最低月額給与を満たせない場合には、別の就労ビザを申請することになります。例えば、S Passであれば、金融セクター以外で3,300Sドル、金融セクターで3,800Sドルですが、S Passは申請できるセクターが決まっているなど、別の要件をクリアする必要があります。

もし、Employment PassかS Passのどちらを申請すればよいか迷った場合には、MOMが提供する診断ツールを用いて事前確認することも可能です。

Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT) – Ministry of Manpower –

COMPASSによる厳しい審査

MOMは、COMPASS(Complementarity Assessment Framework)という審査を導入しており、就労ビザの新規申請については2023年9月より、更新申請については2024年9月より適用されます。

COMPASSでは、「給与額」「学歴」「多様性」「ローカル雇用への貢献度」「不足職種」「戦略的経済優先活動」の6つの観点から個人および企業が評価されます。各項目に対して0点、10点、20点のいずれかがつけられ、Employment Passを取得する場合には合計が40点を超える必要があります。

COMPASSに関する詳しい情報は、以下の政府サイトで確認できます。

Eligibility for Employment Pass – Ministry of Manpower –

就労ビザの申請時に必要な各種書類

就労ビザの申請に必要な書類や手続きは以下の通りです。

  • 申請フォーム(オンラインページ
  • パスポート
  • ACRAに登録された会社の最新のビジネスプロファイルまたは必要情報

ただし、情報が不十分だと判断された場合には、別資料の提出を要求されます。このやりとりで数週間かかることがあるため、時間に余裕をもって進めるとよいでしょう。

就労ビザの申請・取得は各企業でも可能?

就労ビザの申請および取得は、各企業の担当者だけでも実施できます。ただし、シンガポールの就労ビザは条件が厳しく、かつ頻繁にルール変更がされるため、初心者では対応できない場合があります。

時間に余裕がある企業であれば、担当者を配置し、自社で実施するのもよいでしょう。一方で、確実に就労ビザを取得したい、ビザ取得までの時間を短くしたい、ビザ申請にかかる作業を削減したい、という場合には、シンガポールのビザ申請に強い代行会社に依頼するのがおすすめです。

シンガポールでビザ申請に強い代行会社の選び方

シンガポールでビザ申請の代行会社を選ぶ際には、以下のポイントを確認するとよいでしょう。

シンガポールでビザ申請の代行会社を選ぶポイント
  • シンガポールでビザ申請の実績が豊富
  • シンガポールに拠点を構えており、現地サポートが充実
  • シンガポール政府へのリレーションが確立している
  • スピーディに対応してくれる
  • 費用やサービス内容が明瞭
  • 法人設立や運営代行、人材紹介などにも対応してくれる

ビザ申請に強い会社であっても、シンガポールに精通しているとは限りません。シンガポールは就労ビザの取得条件などが頻繁に変更されるため、シンガポールのビザ申請において豊富な実績を持つ代行会社を選ぶようにしましょう。

シンガポールは他国と比べて人件費や物価が高いため、ビザ申請の代行費用も高くなりがちです。そのため、どうしても安くサービスを提供している代行会社を選びたくなります。

しかしながら、ビザの取得が上手くいかないためにビジネスが停滞してしまうことが多々あるのも事実。基本的に費用とサービスの質は比例するため、もし重要な案件であれば、費用よりもサービスやサポート内容をより重視して選んだ方がよいでしょう。

シンガポールの就労ビザ申請でおすすめの代行会社4選

シンガポールで就労ビザの申請依頼をする場合には、以下の企業やサービスを利用するのがおすすめです。シンガポールに特化したサービスを提供しているため、ルールが頻繁に変更されるシンガポールにおいても、高品質なサポートが受けられるでしょう。

会社・サービス名詳細提供サービス
R World Pte. Ltd.シンガポール進出に関するワンストップサービスが強み。法人設立からビザ代行、コンサル、調査など幅広く対応してくれるシンガポール進出に関する各種サービス
EPSコンサルタンツシンガポールに本社を構えるコンサル企業。就労ビザ取得に関するスポンサー代理を依頼できるなど、独自のサービスが魅力ビザ取得のみを目指した「事務的サポートプラン」とスポンサー代理もできる「雇用代理型サポート」
Global Gateway Advisors Pte. Ltd.就労ビザ申請時に実施される審査を事前に仮実施してくれるため、申請⇒不受理のプロセスを軽減できる。ビザ遅延によるビジネス機会喪失を避けたい企業におすすめ就労ビザ申請代行および事前チェックサービス
SG VISA GLOBAL各種就労ビザや家族帯同ビザなどに幅広く対応。家族同伴でのシンガポール進出におすすめ就労ビザ(Employment Pass、S Pass)申請代行および家族帯同ビザ・長期滞在ビザ申請代行

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R World Pte. Ltd.

「R World Pte. Ltd.」は、シンガポール進出に関するトータルサポートを提供している企業で、シンガポールに本社を構えています。シンガポールでの法人設立に関する各種手続きからサポート、経営者もしくは従業員のための就労ビザ申請代行、ビジネスプランの相談、進出前の事前調査など、幅広いサービスを提供しています。

シンガポール進出に関する手続きを丸ごと依頼したい方は検討してみるとよいでしょう。

費用相場要問い合わせ
サービスURLhttps://www.r-world.biz/

EPSコンサルタンツ

「EPSコンサルタンツ」は、東南アジア進出に関する各種サポートを行っている企業で、シンガポールに本社を構えています。現地の情報に精通しているため、最新の情報やマーケティング戦略を提供してくれるのが魅力の1つ。

就労ビザ取得を目指した各種手続きを行う「事務的サポートプラン」と、就労ビザのスポンサーを引き受けてくれる「雇用代理型サポート」の2種類を提供しているため、自社の要望や実態に応じて使い分けるとよいでしょう。

費用相場要問い合わせ
サービスURLhttps://epsgroup.co.jp/archives/4659

Global Gateway Advisors Pte. Ltd.

「Global Gateway Advisors Pte. Ltd.」は、アジア圏に進出する企業の各種サポートを行っている会社で、シンガポールに本社があります。日本人の公認会計士がシンガポール進出に関するコンサル(戦略や税務面)を提供してくれるため、シンガポール進出のノウハウがない方でも安心です。

日系企業で唯一のEP申請代行ライセンスを取得しているなど、シンガポール政府とのつながりが強固なのも魅力の1つ。MOMに書類を提出する前に、同社にて就労ビザ取得の可否を診断してくれるなど、独自のサービスも提供しています。

費用相場要問い合わせ
サービスURLhttps://www.global-gw.com/resource/p/ep-precheck

SG VISA GLOBAL

「SG VISA GLOBAL」は、就労ビザ取得を中心としたシンガポール進出サポートを行う企業です。スタッフが政府公認の資格を有しているため、高品質のサービスが受けられます。

Employment Pass、S Passの申請代行はもちろんのこと、家族帯同ビザの申請にも対応しているため、家族でのシンガポール移住もワンストップで行ってくれます。

費用相場要問い合わせ
サービスURLhttps://sg-visa-global.com/

法人設立とビザ申請を合わせて依頼したいのであれば、以下の記事もぜひ参考にしてください。

シンガポールにおける就労ビザ取得費用

シンガポールでの就労ビザ(Employment Pass・S Pass)にかかる費用は、2024年8月1日時点で、申請時に105Sドル(11,760円)、パス受け取り時に225Sドル(25,200円)です。ただし、この費用は頻繁に変更されるため、MOMのサイトで最新の情報を確認するようにしてください。

シンガポールでの就労ビザ取得を代行依頼した場合には、サービス内容に応じた費用が発生します。シンガポールの就労ビザは他国と比べて審査が厳しく、準備により時間がかかります。また、審査中に追加の提出物を求められることもあります。このような状況があるため、代行費用を一律に定めている代行会社は少ないのが現状です。

例えば、就労ビザに必要な書類の準備一式で2,000Sドル(22万4,000円)、何か追加資料の準備や現地とのやりとりが生じた場合などに追加で費用を徴収するといった費用体系が採用されています。

いくつかの代行会社にコンタクトをとり、サービス内容やサポート体制を丁寧に確認しながら、自社の費用感に合ったパートナーを見つけるとよいでしょう。

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