海外法人設立後に日本で活動するのは可能?節税方法や注意点も紹介

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海外に法人設立することで、日本と海外の両方から収入を得られます。また、様々な制約はあるものの、うまく運用すれば節税効果が期待できます。

本記事では「海外法人を設立後に日本で活動するのは可能か?」という読者から頻繁に寄せられる質問に回答するとともに、海外法人を設立するメリットや注意点、海外法人を活用した節税方法などについて紹介いたします。

この記事でわかること
  • 海外法人設立後に日本で活動できるか
  • 海外法人設立と節税の仕組み
  • 海外法人を日本から運営するポイント
  • 海外法人設立時のポイントや注意点
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目次

海外法人設立後に日本で活動するのは可能?

海外法人を設立し、その後日本で活動するのは可能です。実際、日本と海外の両方で会社を運営している方の多くは、この方法をとっています。法人設立や経営は、代表が必ず現地にいなければならない、ということはありません。例えば、法人設立であれば代表が現地に行かなくても、代行会社に依頼して法人設立を行うことも可能です。経営に関しても、代表の代わりとなる日本人や現地で採用した人材に依頼することで問題なく稼働できます。

ただし、国ごとに法人がしなければならないことが決まっています。例えば、各国の税制に沿った納税や確定申告、法人ライセンスの更新などは、適切に実施しなかった場合にはペナルティが科されたり、法人閉鎖に追い込まれてしまったりすることもありえます。それらが適切に行われているかどうかは必ず確認するとよいでしょう。

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海外法人を設立することで節税できるのはなぜ?

よく聞かれる質問の1つが「海外法人を設立することで節税できるのはなぜか」です。以下の項目に分けて詳しく説明します。

  • 法人税の違い
  • 外資向け優遇税制適用
  • 経費削減
  • タックス・ヘイブン

法人税の違い

法人税は国によって異なります。例えば、日本であれば23.2%で、シンガポールであれば17%、ドバイであれば9%(条件を満たせばゼロにできる可能性あり)です。

法人税額の決定は、様々なルールに則って実施する必要はありますが、単純計算をした場合、1億円の利益があった場合、法人税を差し引いた後の税引き利益は以下の通りです。

日本シンガポールドバイ(UAE)
法人税23.2%17%9%
法人税額2,320万円1,700万円900万円
税引き利益7,680万円8,300万円9,100万円

法人税の低い国で日本と同様のビジネスが実施でき、同様の利益が上げられる場合には、海外に法人を設立することで節税効果を得られます。

外資向けの優遇税制適用

海外には外国企業を積極的に誘致している国があります。そのような国では、外資系企業が支払う税額を一部免除する優遇税制が定められています。例えばフィリピンでは、外資を積極的に誘致する観点から条件に当てはまる外資系企業に関しては、一定期間の法人税免除および軽減税率の適用などの措置がとられています。

国によって様々な条件があるものの、このような外資向けの優遇税制をうまく利用すれば、日本でビジネスを展開するよりも大きな節税効果を得られます。

外資に関する奨励-各種優遇措置 – JETRO-

経費削減

直接の節税ではありませんが、海外での法人設立は経費削減により利益を増やすことが可能です。企業の利益は、売上-経費で計算できます。

利益の考え方

利益=売上-経費

経費には原材料費や運送費、人件費、オフィス費などが当てはまります。海外では人件費やオフィス費などを大幅に削減できる可能性があることから、海外に法人を設立することで利益の最大化が目指せます。

例えば上記で紹介したフィリピンであれば、従業員の雇用にかかる費用は5万円~といったところ。日本では20万円~の給与支払いが必要になるため、これだけでも大幅な経費削減が可能です。

タックス・ヘイブン

世界にはタックス・ヘイブン(租税回避地)と呼ばれるエリアや地域があります。タックス・ヘイブンは、他の国と比べて収めるべき税額が非常に低く設定されています。タックス・ヘイブンに法人を設立することで会社運営に関わる法人税や、生活に関わる各種税金を大幅に減らせます。

タックス・ヘイブンへの法人設立は、悪質な節税目的で実施する場合には脱税行為として処罰される場合がありますが、利益追求を目指して行う場合にはまったく問題ありません。タックス・ヘイブンの有名な国や地域は以下の通りです。

  • ケイマン諸島
  • バージン諸島
  • ルクセンブルク
  • モナコ
  • デラウェア州(米国)

法人税が一律17%に設定されているシンガポールや法人税・所得税をゼロにできる可能性のあるドバイも、タックス・ヘイブンの1つとみることができます。

海外法人を設立し日本で活動する場合のポイント

海外法人を設立した後、代表が日本で活動するのは、上記でも述べたように問題ありません。ただし、国ごとに法人が必ず実施すべきルールが定められているため、漏れがないように実施してください。また、直接の業務は自身に変わって現地の人材や代行に依頼することになるため、人材の適切なマネジメントスキルや業務最適化なども求められます。いくつかポイントを紹介します。

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海外の法人運営ルールを適切に理解する

国ごとに法人の運営ルールが異なります。例えば、一度会社を設立すれば、その後は適切な納税と会計レポートの提出だけで問題ない国もあれば、毎年法人ライセンスを申請しなければならない国もあります。もしその国で必要な手続きを怠った場合には法人が取り消されてしまう可能性も。そのため、進出した国の法人運営ルールを適切に理解するとともに、毎年必要な手続きを確実に実施するようにしましょう。もし心配であれば、その国の法人事情に精通したエージェントに相談するとよいでしょう。

海外法人に信頼できる人材を配置する

日本でも会社を運営していたり、その他の仕事に就いていたりする場合、日本と海外の2つのことを同時に実施するのは大変です。そのため、現地に信頼できる人材を配置するのがよいでしょう。自身の代わりに会社のマネジメントをする日本人を配置するパターンと、現地で外国人を雇用するパターンがあります。

日本人を配置するメリットは、コミュニケーションが容易、日本人目線での仕事が期待できるなどです。ただし、現地の理解不足により適切な手続きが実施できない、ある程度大きな人件費が必要などのデメリットもあります。

現地の人材を雇用するメリットとして、現地における最新のビジネス事情に対応できる(法律や税務ルールの変更など)、国によっては人件費を削減できるなどがあります。一方で、コミュニケーションが即座に図れない、日本人とはビジネスルールや仕事観が異なるなどのデメリットや注意点もあります。

代行会社を効果的に利用する

自社だけでの対応が不安な場合には、代行会社に依頼するとよいでしょう。各国に精通した代行会社であれば、法人が実施すべき業務を適切に把握しているため、対応が必要な時期になったら連絡してくれます。また、自社で実施すべき業務を大幅に削減できるのに加え、高いクオリティの仕事が期待できます。依頼には当然費用が発生しますが、自社で従業員を手配するよりもコスト面(人件費やマネジメントにかかる時間)で大きな効果が期待できる場合もあります。

海外法人設立に向いている国は?

海外法人を設立する際には、税制面や外資優遇・規制、立地、コスト、ビジネスとの相性、市場状況など、様々なことをリサーチする必要があります。自社と相性のよい国を選ぶことで、より大きな利益が追求できるとともに、節税対策も図れます。海外進出におすすめの国をいくつか紹介します。

国や地域特徴
ドバイ一定の基準を満たすことで所得税や法人税(通常は9%)を無料にできる。毎年様々なルール変更が行われているため、最新情報の確認が重要。
シンガポール法人税が一律17%で、それ以外にも様々な優遇税制を利用可能。外資誘致に積極的で、日本からの距離も近いため、日本人に人気。
デラウェア州
(米国)
州内でビジネスを行わない場合には州法人所得税を支払わなくてもよいという独自のルールがあるため、多くの企業が本社を置いている。
ケイマン諸島不動産登録税や輸入関税を主な税収としているため、法人税などが比較的低い。また、会社設立が容易で、最短1週間以内で法人設立も可能。会社維持にかかる必須業務も少ない。
その他ヴァージン諸島、パナマ共和国、ルクセンブルク、ジョージア、ニューカレドニアなど。ただし、国によってはタックスヘイブン対策が行われている場合あり。また一部の地域はEUのタックスヘイブンブラックリストに載っているため、注意が必要。

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海外法人設立で覚えておきたい用語

海外で法人設立する際に頻繁に耳にする用語をまとめました。これらの用語を正しく理解しておくことで、海外法人設立をスムーズに進められた李、困りごとを早期に解決できたりする可能性があります。

二重課税

「二重課税」とは、日本と海外の両方で納税義務が生じることです。同じ所得に対して複数の国で課税されるため、納税額が大きくなります。二重課税を防ぐ仕組みとして、国家間で租税条約を締結している場合があります。また、外国税額控除を利用することで必要以上の納税を防げる場合があります。

租税条約とは、二重課税や脱税の防止を目指して国家間で締結される条約で、正しく申請・活用することで二重課税を防げます。財務省によれば、2024年6月1日時点で、155の国や地域と租税条約を締結しています。

租税条約に関する資料 : 財務省

外国税額控除とは、日本の税制において、外国で課税された所得税を日本の所得税から差し引く仕組みです。詳しくは以下の財務省のサイトで確認できます。

国際的な二重課税排除方式に関する資料 : 財務省

ペーパーカンパニー

「ペーパーカンパニー」とは、名前の通り、紙のようにペラペラな会社を指します。ペーパーカンパニーは活動実態がなく、法人維持に必要な最低限の手続きを行っているだけの場合がほとんどです。しかしながら、法人であることから資金調達がしやすい、優遇税制などが利用できるなどのメリットもあります。

ただし、節税を目的としたペーパーカンパニー設立はグレーな部分が多いため、注意が必要です。海外においても同様にペーパーカンパニーを設立し、節税効果を得られる可能性があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

進出形態

日本の企業が海外に進出する際には、進出形態も検討する必要があります。主な進出形態には、現地法人(独立した法人として現地のルールに則って運営する)や子会社(日本法人の関連会社として運営する)、駐在員事務所(事業は実施せずに調査を主とする)などがあります。どの進出形態を選ぶかによって、その国で実施すべき手続きや税制が異なってくるため、事前によく確認するとよいでしょう。

海外に法人を設立するメリット

海外に法人設立することで、ダブルインカムにより利益を最大化できます。また、事業がうまくいけば日本よりも大きな収益が得られたり、事業をさらに拡大したりすることも可能です。日本では今後、人口減が急速に進むため、世界に向けたビジネスを所有していることは大きなメリットとなるでしょう。また、海外法人をうまく活用することで、場合によっては節税につながる場合があります。

ダブルインカムが見込める

海外法人設立は、世界中の顧客にリーチできる可能性を生み出します。日本の人口は2024年時点で約1億2,000万人超ですが、世界には80億を超える人々が住んでいます。海外法人を設立することで、潜在顧客数を数十倍に増やせます。

また、日本と海外でビジネスを展開すれば、両方からの収入が得られます。もし日本でのノウハウがそのまま適用できるのであれば、企画や商品開発の手間はそのままに、市場規模を数倍まで拡大することも可能です。為替相場対策にもなります。

国によっては競合が少ない

自社の考案するビジネスに最適な国を選べば、競合の少なさにより、大きな成果を上げられる可能性があります。例えば日本文化の人気が高いにも関わらず、日本食レストランやアニメグッズなどが少ない国や地域を選び、現地で人気のSNSをうまく利用してマーケティングを行えば、短期間で多くの顧客を得ることも可能です。日本ではすでに多くのビジネスが展開されているため、どうしても競合他社と被ってしまいますが、世界であれば比較的容易に差別化できます。

節税効果が期待できる

一定の条件を満たす必要はありますが、海外法人を設立することで節税できる可能性があります。タックスヘイブンに法人設立すれば、法人税や所得税を大幅に削減できるため、節税につながります。外資優遇のために設けられた軽減税率を利用できれば、通常よりも少ない税負担で事業を展開できます。コストが安い国に進出すれば、経費削減により利益を増やせます。

2か国でビジネスを展開するのはその分負担が大きくなるものの、節税や利益増につながるため、さらなるビジネス展開を検討している方におすすめです。

海外法人を設立する際の注意点

海外法人の設立には様々なメリットがある一方で、当然ながら多くの注意点もあります。これらもよく理解した上で海外展開するかどうかを検討するようにしてください。特に節税目的のペーパーカンパニー設立はグレーな部分も多いため、事前に専門家に相談するようにしましょう。

節税目的の海外法人設立はグレーな部分が多い

節税目的の海外法人進出は、グレーな部分を多く含んでいます。例えば、タックスヘイブンに法人を設立して節税する方法に関しては、脱税と認識され、追徴課税などを課せられる可能性があります。また、タックスヘイブン対策税制で一定の規制も行われているため、思ったようなメリットを享受できない場合がほとんどです。海外法人の設立はあくまでもビジネス拡大や利益追求を目指して行うとよいでしょう。

予想以上にコストがかかる

海外での法人設立は、予想以上にコスト(費用および時間)がかかってしまう場合があります。例えば、ドバイで法人設立をしようとすれば、初年度で150~200万、次年度からの経営で100~150万ほどかかります。これは利益の有無に関係なく発生する費用のため、採算が合わずに撤退する企業も多くあります。また、海外で法人展開するのに必要な業務や従業員のマネジメントに予想以上に時間をとられるとともに、ストレスを抱える経営者も多くいます。

適切な運営をしないとペナルティや追徴課税の可能性あり

法人を設立したものの、その後適切な運用ができない場合、法人を取り消されるだけでなく、ペナルティを与えられたり、追徴課税が課せられたりする場合があります。場合によっては今後特定の国でビジネスが展開できなくなってしまうことも。海外進出の際には事前の調査を行うなどして、計画的に実施することが求められます。

従業員管理の難しさ

日本の会社は日本独自の文化があり、そこで働く現地の従業員はストレスを貯めやすい傾向にあります。従業員が突然退職してしまったり、重要な資料を持ったまま消えてしまったりすることも多々あります。これにより法人運営が難しくなったり、追加の費用がかかったり、ストレスの原因になったりすることがあります。

海外進出には代行会社の効果的な利用がおすすめ

自社だけで海外進出しようとすると、法人設立や法人運営(特に税務や法務面)で問題を抱えることが多いため、代行会社を利用したほうがスムーズかつ安全に海外展開できます。代行利用には一定の費用がかかりますが、総合的に見た場合には自社だけで対応するよりも安く済むことも多々あります。以下の記事でドバイやシンガポールの法人設立におすすめな代行会社情報をまとめていますので、興味のある方は合わせてご覧ください。

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